空葬
本木はじめ
立ち込める黒い雲の下で
ずっと穴を掘っている
解体されたぼくらの恋の死体を
埋める為
街は夜の鏡のように静かで
鳥たちはみな盲目の眠りのなか
指は、もはや僕の指ではない
きみと何年もの間ともに過ごした
僕の指もこの冷たい土、恋の死体と共に
時間と季節に奪われてゆく
僕は僕ではなくなるだろう
どちらかが片付けなければならない
外側の熱も
内側の熱も
僕のものではない
きみのものではない
美しくはない
指はもう冷たくもない
ふたりで飼っていた小鳥を
真夜中に埋めていたきみの姿がよぎる
この無機質な恋の死体に
もはや翼を探すことはできないが
いつの日だったか
あの春の青い空を
僕らも飛んでいたのだろうか
あの小鳥のように
あの小鳥のように