現実
凪 ちひろ

どうして君が死んだの

ずっと問い続けている

どうして君が選ばれてしまったの

ずっと考えている


もっと聞きたかったよ
夢の話や 今作っている歌のこと
昨日見た映画の感想や 空がきれいだったこと
君のつむぐ言葉の優しさが 好きだった

赤い観覧車見ると思いだすんだ
君の作った詩
いろんな物見て思い出すよ
君の世界観

9月9日
まだ真っ暗な朝
新聞拾う 夢がいっぱい詰まった君の体に
10トントラックが 突っ込んだ

僕がそれを知ったのは
翌朝の電話
部屋を切り裂くような声で
泣き叫んだよ

23の若さで君が逝ったこと
どうやって受け入れろっていうの?
こんな大きな風穴 開けていくなんて

君は伝説になった
誰よりも早く
そんなことよりも
しわくちゃのおじいさんになって
いっしょに笑い合ってほしかったけど
伝説になったことすら
君らしくて
わからなくなるんだ


どうして君が死んだの?

どうして君が選ばれてしまったの?

答えは 風の中 海の中 月の中


君は今 どんな空を飛んでいるのかな
ギター抱えて そっと歌ってくれているのかな


自由詩 現実 Copyright 凪 ちひろ 2012-01-12 02:34:41
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