秋草日
蒼木りん

これから明日の仕事のために作業着にアイロンをかけなければなりません

私は横文字職業 Part-timer

ヒーローヒロイン主役代表三角形の頂点

その他大勢が支えているのさ一等上の誰かのことを

あなた

生きていてもいいですよ

だって生まれてんじゃない

今生きてんじゃない

日が暮れても昇ってもほら足元に影がある

昨日までのことはぜんぶ無かったことでいいってさ

今日逃げなさい明日生まれて来なさい

でも人は過去にあったことしか語れないのかな先生

みんなどんな話を聞いてもらいたいの

ああ

ロボットのように無駄ない動きで両手でラベルが貼れるようになりたい

責められるのは嫌なものだしそんなことカッコ悪いしつまらない

私はちいさな傷に気づいてもそれを痛いと責めたくない睨みたくない

「髪きれいですね」

40男の美容師が囁く

三人ともあんまり仲良くない美容院

私は髪きれいになって明日課長に微笑む

満月頂点で2分の一光る海を見に行きたい

東京駅で逢える夜ひとりにしないで

何故あなただけ先に行くの愛人を友人に自慢したいの

風邪薬飲んだのに喉痛い頭痛い目が潤む

胸の苦しさだけは治まったもうしばらくは生きられる

私はまだ東京に行くと言い出せないでいる

東京でイベントないですか

あなたの絵気に入ったら樋口一葉で買います額付けてください

窓を開けて秋の草が枯れてゆきますまだ息をしていました

その息が私の身体を治してくれるようでした

今日は朝からいい日でしたありがとう

すべて枯れる日には冬

風も無く降る雪が好きです





未詩・独白 秋草日 Copyright 蒼木りん 2004-11-28 00:52:39
notebook Home 戻る  過去 未来