いのり
凪 ちひろ

雑踏の中 ふいに涙がほほ伝う
このままここで 倒れ伏してしまいたい
どこも病んではいないのに
心の痛みに耐えられない
何もないように笑っているあの人でさえ
胸の中には多くの悩みや人々を抱え
時には 一人 はりさけそうな声を出す

こんな所で こんな程度で
泣いている場合ではないと
何度も自分に言い聞かせ
そのうち 素直な好意すら
人に伝えられないまま
心の崩れる音を聞く

座り込んで泣いているあの子に
手を差し伸べたいと思っても
わたし自身の足場がとても不安定で
うつむくだけ

ただ孤独だと 自分を嘲ることは
きっと楽しいでしょう
けれどその陰に消えてしまう 誰かからの自分への愛を
裏切ることに意味はないよ

誰かを妬むことで幸せになれるなら
それも道の一つでしょう
けれどマイナスの気持ちは
マイナスの結果の方を 強く呼び寄せてしまう

目を閉じて 何も見ず
耳を塞いで 何も聞かず
その間(ま)に時は流れてしまうよ
人は老いてしまうよ

ねえ おいしい物をたべよう
好きな人に好きって言おう
少し休んだら 前を向こう
同じ時を生きようよ どうか


自由詩 いのり Copyright 凪 ちひろ 2012-01-10 22:26:20
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