眼を背けるということ
吉原 麻

(噛め はやく噛め そして全て飲みこんでしまえ)
(急げ さもないと捕まる でも何に)

二つの時計の秒針のズレと共に 未曾有の空間にパラシュート着地
明け方の紫の あけるという未来しか待っていない空と
自らの体温の数字よりも 数度強い酒の充満する馨り
十二本の鉛筆を はしから剥く と 香る 黒鉛
背表紙を掴まれて投げられるためにある文庫本の山 と その栞

(見つかった 朝)
(ただしひどく 道徳が乱れている)


自由詩 眼を背けるということ Copyright 吉原 麻 2004-11-27 23:43:14
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