なぐられ河
subaru★

今でも あの場所を流れています
高速道路の車列が整然と
途切れない 地平線のように続いて

形にならない声を
無差別に浴びて打たれ
そして 流れ 流れていく河

大きな河の膝の青タンを
キザなテトラポッドに真似て
孤影の波を
丸ごと受け止める

殴打が続く今日も
血は流れ 生まれ変われと 循環され
大動脈は街の賑わいを足していく

母性あふれる河は
慟哭どうこくを丸ごと呑み込み
血は まわりまわり続ける

停まりたくない回遊魚の群れから
メッセージがこだまする

我等は走馬灯の輝き
真っ暗闇は嫌いだと格好つける
停まらないのは
立ち尽くさないためと照れた言い訳

言葉にならない言葉で
河のほとりで語ってくれた

僕の百デシベルの叫びが
停まらない車の流れに乗って
時空にクルリ 時流にクルリと
消えて また生まれて 歩き出していく

痛みの身代わり 見返りのいらない
母性あふれる この河を
今でも なぐられ河と呼んでいます


自由詩 なぐられ河 Copyright subaru★ 2012-01-08 09:03:42
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