石を隠しもちながら
石田とわ
もがいてもがいて
ひたすらに生きようとする
死にたいと言い続けながら
ほんとうはだれよりも生きたいんだ
そのためのささやかな嘘を
いったいだれが責められようか
はやく死んでくれないかと
石を投げつけられたときの苦しみを
わたしも石を持つものたちも
知り得ることはないだろう
右手はきみの手を握りながら
左手に石を隠しもっているのを
きみは気づいているだろうか
いっそうのこと死んでくれないかと
願った夜を知らないだろう
今年の冬はきつかった
ほんとうにほんとうにきつかった
その生きたぬくもりを感じながら
一緒に歳をとろうじゃないか
髪に白いものが混じり、しわができ
だんだんと死がこわくなくなるまで
右手をきみにあずけよう