もう風俗には行かない'12
はだいろ

毎年ダイエットや、
禁煙の誓いをするひとがいるように、
ぼくも、
今年こそ、
風俗断ちを誓いたい。

もっとも、
ダイエットや、
禁煙は、
健康のためなのだろうから、
むしろ、
風俗は(性病の危険をのぞけば)
実に健康にはよいと思う。
適度な運動。
ストレス解消。
金がかかると言うかもしれないが、
実は、
素人の女に手を出すよりも、
ずっと安い。
自家用車よりも、
レンタカーの方が安いのと同じことだ。
ちょっと違うか。

でも風俗をなぜやめるのかというと、
やめるなにかが欲しいからだ。
なにかを得るには、
なにかを捨てなければならない。
ぼくは今年結婚するし、
子供もできるし、
マンションも買うのだから、
風俗をやめる。
もう風俗にはいかない。
きっと行かない。
たぶん行かないと思う。
行かないように努力したい。

煙草で思い出したことを言っておく。
ぼくは、煙草を吸わない。
最近は、アレルギーで咳がよく出るので、
煙草くさいところも行きたくない。
だけど、
だけど、
煙草の箱に、
「あなたの健康を害する恐れがあります・・・」
なんて、大きな文字で、
書いてあるのを見ると、
実にゾッとする。
あんな醜い仕打ちがあるだろうか。
煙草の箱は、もっと美しくていい。
あんな警句は絶対にいらない。
少なくとも、箱に入れるべきではない。
美しくない。
あれを許すならば、
車のボンネットには
「車の乗り過ぎは空気を汚す恐れがあります・・・」とか、
政治家の背広には、
「公約の掲げ過ぎはひとつも守れない恐れがあります・・・」とか、
くっきり書かれなければフェアーではない。
もし、煙草がなければ、
煙草を吸うという文化がなければ、
文学や、
音楽や、
映画は、
どんなに味気ないものになったことだろう。
文化というものは、
悪の華でもある。


そしてぼくは、
もう風俗には行かない、とは誓ってみるけれど、
約束を守れないのも、
人間なのである。








自由詩 もう風俗には行かない'12 Copyright はだいろ 2012-01-05 19:40:21
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