昇華
あぐり



よくなっていくものとして
すべての流れがあるのでした
散って昇って
咲いた花
ゆるしてくれなくても
いいの
それはもう
いいの


ひとの、
肩の軽やかさなんて
知らないままで
何層もの季節の風にふかれて
それでもほどかれないわたしの身体を
愛している人もいます
呼吸も声も
すべての音を拒んで
わたしは無音の筒になりたい


愛してくれてもいいの
それはもういいの
ぜんぶよくなっていくから
ゆるしてくれたって
いいの
冷たい指でさわってしまう
まぶたをふせてしまう
よくなっていく流れのなかで
肩ごしにすこし
わたしのにおいを見送っている





自由詩 昇華 Copyright あぐり 2012-01-04 20:39:24
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