春雨
あぐり


あきれるほどに雨
先だけが浸って
とがるように空

かかとを浮かして歩くには
すこし酔わなきゃいけなかった
街の風はわたしたちをさらうから
ぬるくて無神経で
とてもちかしいものですねって
みんなでやさしくみつめあってる

あきれるほど、雨
うたれている人の瞼が震える
濡れそぼる言葉をやわらかくすくめて
かたちのないものとしか生きていけない
生ぬるく
隣でわらうわたしの喉
ずっと
まだ
あきれるほどに雨




自由詩 春雨 Copyright あぐり 2012-04-12 07:07:23
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