re-born
nonya


流れていく方向を見失って
濁り始めた水と空気

「仕方がない」のお題目の下で
済し崩しにされる許容限度

時間をかけて築き上げた壁を
やすやすとすり抜けて
目の前に現れる他人

得体の知れない不安のぬるま湯に
じっくりと浸されて
魂を抽出される自分

それでも
そこにうずくまっているのか
滑り落ちてきた崖の高さに見惚れて

それでも
立ち上がろうとはしないのか
塞がった傷口をいつまでも舐めまわして

狭くなってしまった青空を
もう一度仰いで
曲がりくねった谷底の道を
自分の足で歩いてゆこう

「いまさら」なんて
鼻先で笑っていないで
静まりかえった汚水の底から
みっともない姿で這い上がろう

伸ばし過ぎた枝葉を
根元から切り落として
その切り口から発散する
青臭い意識を腹式呼吸しよう

毎日
生まれ変わるために




自由詩 re-born Copyright nonya 2012-01-01 16:36:29
notebook Home 戻る