喉を昇る火
木立 悟




雨がやみ
雪になり
枝から径へ
つづく足跡


縄をちぎり
空は帰る
縄は燃える
蒼く 燃える


雪のむこうに
海があり
さまざまな色の火が
流れゆく


鐘の音を連れ
川は曲がる
草の標の傾くほうへ
空もまた曲がりゆく


花を飾る
雨が降る
石の道の上
にじむ冬


色は失われ
蒼が残る
雨に 人に
あらゆる隙間に


海に近い星
曇ふらす星
蒼は呼ぶ
共に沈む


失い色を手に
言葉なくうたい
水のぼる震え
三人の子


夜の前に夜は立ち
透りすぎる火を数えている
海を埋めるのに必要な
羽の数を数えている


遠く 赤い
雪の深夜
帰らない空
蒼い篝めぐる
三人の子


























自由詩 喉を昇る火 Copyright 木立 悟 2011-12-28 21:10:53
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