『燃える琥珀』
あおい満月

琥珀という石を
手にしたことはないけれど
見つめたことがある
黄昏に凍りついた壁の向こうに
眠る葉や虫たち
幾度かこの地中から
出てくる日を待ちわびた

まるでいつかの
わたしに似ている

琥珀は一篇の詩のように
巡る時間を物語る
沈黙という
見えない声で

琥珀は眠らない
いつか手にする
主の指先や胸元で
静かに燃える

見つめられることによって
まだ生きていると
証明しながら

かつて生きていたものたちの墓は
眠らずに空を仰ぐ
手のなかで
ぬくもりを交わしながら



二〇一一年十二月二一日(水)


自由詩 『燃える琥珀』 Copyright あおい満月 2011-12-26 20:53:03
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