すべて つなぎとめることは できないもの
ただのみきや

常緑樹が立ち並ぶ小高い場所で
わたしたちはうさぎの足跡を見つけた
雪原の輝きとはうらはらに
頬がかじかみ 言葉は出る前に凍りついていた
あなたはやさしいメロディーと悲しい歌詞の歌が好きで
よくハミングしていたが
いつも
風と見分けがつかなくなっていた

同じ場所に立っている
きょう うさぎの足跡は見つからない
白い風が横っ面を氷の粒で打ってゆく
あなたの面影も白く消されてゆく
あのメロディーもすべて
のみこまれ 風だけが 悲しげに歌い続け
大地は すべて無情にも引き裂かれ
散り散りになるもののために 
黙祷を捧げていた


自由詩 すべて つなぎとめることは できないもの Copyright ただのみきや 2011-12-17 23:09:19
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