テロリストの憂鬱
吉岡ペペロ



大学のころひとりで

ヨーロッパの映画をよく観にいった

そのあとは音大生の部屋に行くのが常だった

テロリストがひと仕事終えて

女のところに身を隠しにゆくように

アスファルトには影がばれていた

寒気で大気がうすくなっていた

顔の冷えが衣服も冷やしていた

ゴダールの右側に気をつけろを観たあとだった

ヨーロッパの映画には詩を感じた

堀口大學の訳詩をそらんじながら

女の部屋をながめて

危険を察知したテロリストは

外灯に靴音を立てて去っていった


携帯写真+詩 テロリストの憂鬱 Copyright 吉岡ペペロ 2011-12-12 22:13:01
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