屋島
吉岡ペペロ



見えないものを舞台に見つめる

それは無念

それは苦渋

それは憎悪

それは諦念

おどろおどろしい明らかなる男たちの声楽

鼓を打つ音

動物のような男たちの吠え声

鎮魂とはこういうことだったのか

笛の音がやむと義経が袖に消えてゆく


世阿弥作屋島を観た

お能は世阿弥12歳足利義満17歳の邂逅によって700年まえ生まれた

落ちた花がふたたび枝に帰ることはない

割れた鏡がふたたびひとつの輝きとなることはない

お能の登場人物はそのほとんどが幽霊だ

だからお能はこの世に思いを残した者たちへの鎮魂の芸能だ

義経の幽霊が現れるとそこには音と思いしか存在しないかのようだった


見えないものを舞台に見つめる

それは無念

それは苦渋

それは憎悪

それは諦念

おどろおどろしい明らかなる男たちの声楽

鼓を打つ音

動物のような男たちの吠え声

鎮魂とはこういうことだったのか

笛の音がやむと義経が袖に消えてゆく


携帯写真+詩 屋島 Copyright 吉岡ペペロ 2011-12-12 18:58:01
notebook Home 戻る