中学のとき
吉岡ペペロ

中学のとき

それが休日の過ごしかたのような気がして

よく一人で映画館に行った

暗い映画ばかりを選んで観ていた


いまでも思い出すのが

神田川とミ・アモーレの鐘という映画だ

神田川では精神に異常をきたした若い女が

羽のついた鳥の生肉を座り込んで食べていた

ミ・アモーレの鐘では

知的障害者の妹を兄が孕ませていた

そんな暗い理不尽に

あの頃ぼくも人生を蹂躙されていた

電話をかけては泣いていた

電話はいつもコレクトコールでかけていた

ぼくはだまってしまって泣いていた

だから返事ぐらいしかできなかった


中学のとき

それが休日の過ごしかたのような気がして

よく一人で映画館に行った

暗い映画ばかりを選んで観ていた





自由詩 中学のとき Copyright 吉岡ペペロ 2011-12-12 00:58:26
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