スノードームに願いを
未有花

私の街には雪は積もらない
降ってもすぐに溶けて消えてしまうの
私の願いはたったひとつ
一度でいいから一面の雪景色を見てみたい

朝起きて窓を開けたら
世界は白一色に覆われているの
隣の屋根にはピカピカの
真っ白な雪が降り積もっていて
私に眩しいウィンクをくれるのよ

だけど冬が来るたび窓を開けてみるけれど
そこに広がるのはいつも同じ灰色の景色ばかり
雪が舞う感触さえ感じられない
寂しい寂しい冬の街だけなの

お願いどうか願いを叶えて
サンタさんはいつだって知らん振りね
毎年靴下はいろんなプレゼントであふれているけど
私が本当に欲しいものは入ってないのよ

手のひらには小さなスノードーム
去年のクリスマスプレゼントなの
透明なドームの中はいつでも雪が降っていて
私が望んだ世界を見せてくれるわ

叶うならこのドームの中に入って
一日中雪が降るのを眺めていたいけど
今はただこの小さな白い世界をみつめているだけでいいの
いつか願いが叶うように
今年はこのスノードームにお願いしてみるわ

お願いどうか雪を降らせてね
白いプレゼントを私にちょうだい
私の大切なスノードーム
天使が空から舞い降りて来る夢を見ていたいのよ




自由詩 スノードームに願いを Copyright 未有花 2011-12-05 09:13:09
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