やればできる子
未完

真っ黒なランドセルが
ひっくり返っている

カブトムシに似ている

そう思って
しばらく眺めていた


小学生の頃
それに教科書を詰め込んで
学校に運ぶことを
当たり前だと思っていた

好きとか嫌いとか
選ぶことはできないものだと
どこかで諦めながら
毎日詰め替えていた

ひっくり返って
「嫌だ」と駄々を捏ねていたら
何か変わったのか
考えることもせずに


カブトムシが
ひっくり返っている

ランドセルに似ている

自力で起き上がれ
自力で起き上がってくれ

念じながら眺めている


自由詩 やればできる子 Copyright 未完 2011-12-03 15:52:31
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