夜へ 海へ
木立 悟






街より低く
花はこぼれ
音になり
蛇になる


ひとつの手首
四つの手
ひとつの花を
廻している


火をくすぐると
飛ぶ子たち
どこで誰に
会いにいくのか


手のひらを額にのせ
手のひらを 手のひらでたたく
額の奥に
花は沈む


騒がしく
原は原のむこうへ遠のいてゆく
星は星を追い
波の上に現われる


森が身を起こし
ぐるりと時間を見わたしながら
曇から落ちた光を追う


三日月の中州を
貫いてゆく幾つかの波
灯台でもあり
境界でもある家が
咆哮をじっと受けとめている


海に降る花
見つめる蛇
城へ向かう道
音は積もる





















自由詩 夜へ 海へ Copyright 木立 悟 2011-12-03 00:49:07
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