ひとは白を正視しない
吉岡ペペロ

ぴゅん ぴょぴょ ぴゅんぴゅん ぴょぴょ

美観地区の入り口の交差点が

信号がかわるたびにそう囀る

ぴゅん ぴょぴょ ぴゅんぴゅん ぴょぴょ

欠けたまま生きている

欠けているということは

かけらがどこかにあるからそう思うんだ

ぼくは忘れ去られてゆく

ぼくは捨てられるのが怖い

それを知りたくない

かけらがどこかにあるからそう思うんだ

ぴゅん ぴょぴょ ぴゅんぴゅん ぴょぴょ

美観地区の入り口の交差点が

信号がかわるたびにそう囀る

ぴゅん ぴょぴょ ぴゅんぴゅん ぴょぴょ

なにかを見つめているのに気がつく

意識して見つめようとしたら

どれも見つめていたなにかとは違った

あそこの白い光かも知れない

そう思って白い光を見つめてみた

まぶしくて白を正視できなかった

見つめていたのは白い光ではなかった

白を見つめているつもりでも

ひとはその周りの違う色を見つめてしまう

ぴゅん ぴょぴょ ぴゅんぴゅん ぴょぴょ

美観地区の入り口の交差点が

信号がかわるたびにそう囀る

ぴゅん ぴょぴょ ぴゅんぴゅん ぴょぴょ












自由詩 ひとは白を正視しない Copyright 吉岡ペペロ 2011-11-28 23:08:37
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