アレクサンダー・カルダー
TAT

















アレクサンダー・カルダーが好きで




ヘンリー・ムーアと高村光太郎が嫌いで






ブランクーシの接吻が好きだった









彫刻科の画学生だったあの頃は






三百七十円のミックスフライ定食を三限ど真ん中の貸し切りタイムに地下の食堂で食べてから







ツナギに着替えて


頭の中の幻と格闘してたっけ







修学旅行もさぼって石を穿った









全身全霊で









火をくべていた




















ジャコメッティみたいに心細く人生を歩いて







る場合じゃねーぜ俺























あの日の少年に








見せれる背中か?


























美しくも強くもないなら






代替可能なら死ね

























なぁ?鏡の向こうの男よ














旋律が止んだら






止んだ挙げ句に








『鳴ってた方がおかしかったんだ』なんて開き直って言い出すようなら















禿げて太ってガキでも作って分譲住宅でも買って死ねよ

























鏡をパンチする






おお












痛い










食堂のトイレでタバコを押し付けて焼いた手の甲と同じで







そこには痛みがあり


















つまりお前はまだ生きてるんだ



















分かったらさっさと生きろ



















鏡の向こう岸の間抜け





















俺はアレクサンダー・カルダーが好きだ














自由詩 アレクサンダー・カルダー Copyright TAT 2011-11-28 22:13:26
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