雨のいきさつ
香澄 海

冷水を浴びせかけられ
びしょびしょのグー
小指から開くと 小さな傘があった


「何故」と問うには細心の勇気が必要だ
「どうして」に至ってはよく咬んで生殺しにする

「誰」かの「何時」かと重なることを求めたり
傘をすぼめて首をねじったり

「如何」に生きるか迷走する私の中心で
水を恐れる傘が くるくる回る

賢治が願った人のようにはなれないと
傘をたたむたび
自分に「だれ」っと寄りかかる

雨粒が激しくなる一方だ

私は傘を回し続け
「何処」が縮んだり伸びたりする中
メリー・ポピンズみたいに風に乗って
雨音にかき消される小さな声の
反響板になりたい



自由詩 雨のいきさつ Copyright 香澄 海 2004-11-24 21:27:27
notebook Home 戻る