立冬砂時計
小池房枝

郵便受けに
ときどきは
うれしくないこともない便りが届いている
待っていたものではないけれど

一番欲しい手紙は
決して来ない
相手はもう
亡くなって随分と久しい

もしもらえたなら一番うれしい手紙も
来ない
相手は今
一緒に暮らしているひとだから

一緒にいるひとは時折り
買ったままの絵葉書をくれる
時を折るようにして
枝折りのように

自分の言葉は何も書かずに


自由詩 立冬砂時計 Copyright 小池房枝 2011-11-14 21:48:41
notebook Home 戻る  過去 未来