末路
草野大悟
ひまわりは もう 空いろの自転車をこがない
それが すっかり あかね色にかわって 杖をついて
やっと歩いているから
風をたべていた鳥は 夢をたべはじめてからずっと 腹をすかせ
風は その鳥をたべたせいで 空を吹けずに地を這っている
たくさんの男たちと体を重ねてきた女は 収納ケースのなかから
ほころびほつれた糸を持て余している男を撰びだし 雑巾にして
零れたミルクを一度だけふき 涼しい顔してゴミ箱に捨てる
それぞれの末路が
それぞれの殻をつけたまま
蒼い海のなかを漂っている
自由詩
末路
Copyright
草野大悟
2011-11-08 00:19:57
縦