逃げ水
たもつ

 
 
黄ばんだ紙 
表と裏 
その間に 
地方都市 
雑居ビルの一室から 
産声
産まれることの
懐かしい痛み 
短い言葉は 
短い影をつくり
壁は語られる
曖昧な
理屈によって
ふと吹いた風に
紙が舞う
足などに踏まれ
粉々になる
女の人が
上の空で
逃げ水を見ている
 
 


自由詩 逃げ水 Copyright たもつ 2011-11-02 18:51:38
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