夜を歩く
吉岡ペペロ
とぼとぼと夜をこぼしながら
中途半端に高いビルに挟まれた通りをあるいた
あなたに見つからないように
ぼくだけの空気を吸うために
やさしくなれるような気がしたのは気のせいか
いっぱいの未来を考えていた
掌の匂いを嗅いだ
あなたの匂いがした
植物の清い匂いだ
傷だらけになった爪
あなたが愛しんで
さわってくれた爪だ
外灯が滲んでいる
お花畑が揺れている
夜がこぼれている
とぼとぼと夜をこぼしながら
中途半端に高いビルに挟まれた通りをあるいた
あなたに見つからないように
ぼくだけの空気を吸うために
やさしくなれるような気がしたのは気のせいか
いっぱいの未来を考えていた