治療所群島
ballad

私は受胎したままの病
この、病を温めてやれるだけの優しさが私にはない
私にあるのは、病を怖がらせる言葉ばかり
私が病となってこの都市を覆う光景が
もう間近まで迫っている
私は一つの病の比喩となってあらゆる本に混ざる
知らない誰かの手にも足にも混ざりたい
私はきっとその知らない誰かを腐敗させるけど
私は腐敗しないまま、この都市を歩く

都市は壊死したまま決壊を迎えた。私の右目から広がる涙の死が防波堤を越えて海へと響く。足はもう水に濡れない手は冷たい空気に触れない髪はもう風にさらわれない。ここは、私のために作られた治療所群島。私は隔離された輝きの総和。


自由詩 治療所群島 Copyright ballad 2011-10-28 11:25:17
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