ひとりぼっちの女の子
オイタル

ひとりぼっちの女の子
机に前髪が落ちそうだ
あともう少し
針先ほどで届かないあなたの言葉のように
寂しさが髪の先に
しずくをつくっている

秋の薄日が 山の稜線にも
乗り捨てられた車のバンパーにも落ちて
空はアルミの板のように
光の太鼓を打っているというのに

窓から差し込む陽が
部屋の半ばで力なく折れて
ひっそりと床に着水する
幾本もの鉛筆が机に並んで
幻のように 芯先を踊らせる

ぼくが話しかけられるのは
挑戦するしまうまのことや比喩のこと
希望のカレーライスと椅子の軋みのこと
あなたの自責や後悔や空虚のことは
ぼくは 言えない

ひとりぼっちの女の子
ぼくは
言えない


自由詩 ひとりぼっちの女の子 Copyright オイタル 2011-10-15 22:19:20
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