夜に 変わる
木立 悟





点滅する光を舐め
月を背負い 歩き出す
鉄の地図に描かれた目
錆の花にひらかれる


十一月と十一月
灰と白と黒
入り江の星や
声の星


鏡の前の窓
映すものも無く増えつづけ
冬の原につもる冠
光のうしろのまばたきを見る


明るい夜は
崖下へゆく
音をこわがり
木の葉に変わる


十一月に終わり
はじまる
地には鱗
鱗陽の声


空に添い 錆に添い
はやはやと指はしらせて
曇に樹を映し
樹を描く


夜をひろう手が夜を見せあう
路の緑は暗く揺れる
行方知れずの行方に吹く風
ちぎれた弦の街をすぎる


石を透り 去る光
帰り路という名の時刻
手から手へ夜はまたたき
ひとつの眠りのまわりを巡る


振り向く度に
季節は変わる
すべての行方知れずの頭上に
冠は冠は降りつもる






















自由詩 夜に 変わる Copyright 木立 悟 2011-10-15 02:29:59
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