キュリエ
Giton

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嘯嘯と渡る風 牡蠣殻の谷間
置き忘れられた巻き貝
さんざめく天空の波濤
人には気づかれない 水底みなそこの弾き手
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冷たい秋の雨の夜はあなたのいる
彼方から かすかな顫えが伝わって来る
あなたは誰にも伝えようとしなかった
深い苦しみが伝わって来る
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あなたは弾く 大きな弓を持ったあなたは弾く
こどもの姿をした天使たちのスキップは
軽やかな衣きぬれのように
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あなたの腹に詰まった石たちが固着して
あなたは逝った 時たちはまっ白に乾いて
野辺の送りは 春の木霊のように 軽やかに
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自由詩 キュリエ Copyright Giton 2011-10-14 22:15:40
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