vivid
水町綜助


つながり続けるアールイーから



mon 16:52
「きょうはサイダーとサングリアと いろんなラムネ20錠コースです。明日やすみだからもっと盛大にいきたいところだけど、からだが重くなってきました。変なメール送ったら、ごめん」

wed 1:37
「きもちいいからチャリでセブンティーンアイス買いにいこかな」

1:43
「しかも、スイカ味!」
1:51
「小銭がなくなるまでアイス買う。4つ買えた」

1:56
「左手にアイス4つ持ってチャリこぐ猫女」



「ただいま」



2:00
「グレープひとつとスイカみっつ」

2:18
「サイダーはドラッグ。ラムネはメディスン。ソーダはなんだろ?オカズかな?」

2:45
「きっとそうだね。サイダーとラムネと酒ときみと音楽とカメラが最高のセッティング」



話される言葉は
青と白の
イメージカラー
町の余白に
炭酸で
ここにふわりと
浮かんで
いくつか消えて

僕たちには
どうやら栓がないので
ラムネの瓶ほど
重たくないし
「そーだ」
っていうほど
白い、うなづきもない
ちょうど本日は
ラムネの語源
レモネドよろしく
果汁をあらく
搾ったような
午後の光

ああサイダーがあればこんな日は

僕はこの町へ
このにおいを嗅ぎに
そのためだけに
ふらふら
夏はもう何日か降った雨に
洗い流されつつあり
青いアイスキャンディーくわえて
ハンドルを回せば
丘の上からのパノラマが
知覚過敏にしみて
ただやみくもに
彩度を上げ続け
クレイアニメの
連続写真の
病的なうごき
みたいに
瞳の上、色を
塗ったくってく
まず、青、
そんで
それを飲み込む、緑、
クリーム色の家々
パステルなビル
石灰色の
いつかの遺跡に
ところどころ、
ビビッドに赤く、
つぶれるまでは
まだ
はだ色の人々
と、
道のグレーは
50パーセントで
この白い、
あんまりにも白けた
平日にはもう
見えづらくって

つぶれた果物
酸化した果肉の茶色
と、まだ残るあざやかな
オレンジ
もう蝉は泣かない
ぐるりの視界の中で
ぐらりと傾けば



とひと文字の
広告塔が
いつしかモニュメントで
僕のランドマークとして
インスタレーションの君の
場所を知らす
とある夜でたらめに
シャッターを切らなければ
気付かれることはなかった
旅のことだ

にちじょうに広がった
駅前と九龍城の303とモータープール
サテンドールと多国籍食とア.ショックと
猫の廃墟が記された世界地図で
たとえば街なかに這いつくばって
植え込みに
頭を突っ込んでみたあの日
つち、
とても繊細に作り込まれた
大地の上に
蟻、が縦横に
住民が暮らし
歩いて
木々、雑草は
密林だったなら
どこまでも
中心の針穴に
向かっていく
糸の視線で
縫い止めていく
取れたボタンを夜に
カーディガンの
みっつめ

そんな所作について
愛情を見つけ
その白いボタンを
つまむ指を
てのひらでつつむ

つまむ指は
マッチボックスの中に
解体された家々をつまみ
出口のない構造の建築物を
てのひらでつつむ

伸ばされた指は
クリスタルプランツのすこし澄んだ場所をつつき
撫で
そのおまえの蓮に似た身体を
てのひらでつつむ

アイスクリームを買いに行くくらい簡単に
スプーンを興味なさそうにつまんで
冷たい白い
アイスクリームを
興味なさそうに食べる
それくらい簡単に
取り返しのつかないことをする女を
てのひらでつつむ

俺は馬鹿げたところへ来てしまって
目が半分も開かなくなってしまった
ゆびはかたちをさぐるようにいつもひらいて
もうとっくに頭は半分くらいあぶくだ
それがサイダーだろうともうなんでもよくて
あの死んだ夏の入道雲のわきかたみたいに目に焼き付けばそれでいい

































































とてもvividに


自由詩 vivid Copyright 水町綜助 2011-10-10 09:16:47
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