おとなりさん
中川達矢


その時の川に
入れなくなってしまうのは
水が絶えず
流れてしまうから
川は変わらないじぶんを保てず
姿を変えては
石を洗っている
けれど
小便がついた手を
洗うために
ただの水が使われるのに
じぶんを洗えない水なんて
ただの水ではない
川の水は
じぶんが欠けていて
ひとひらとなり
それを拾っていく
海が
川を補っていく
様子を
うえから見ている
山もまた
じぶんが欠けていて
だれかによく似た
大地をつのっていた


自由詩 おとなりさん Copyright 中川達矢 2011-10-04 23:09:01
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