クリア組成
竜門勇気


色素のない目で
晴れた日を煮ている
寒い日でも
ビールを飲んでいるのは
腐った体の中で
黒い陽が
沈もうとしないからさ

分厚いパーカーを
スタジアムジャンパーの内側に着込んで
どこかの誰かのお下がりのデニムを履いて
真昼間の町を酔っ払ったまま歩いて行く
行きたいとこはあったけど
忘れちゃった
捨てたいものはあったけど
失くしちゃった

空からレンガが落ちてきて
黙ってると僕のまわりに部屋ができてしまう
そうしないと
手紙が届かないから
そう言って
不愉快で出来た人形は
美しいケーブルで僕と世界をつないで去っていく

ブルースハープをミキサーにかけて
ベッドに一人
目を覚ましてまた一人
もう一度目をつむって
ブルースハープがまたミキサーに放り込まれる

後ろを振り返る旅
ただそれだけの旅
出来そこないのレンガが
無数のオトシブミに絡め取られて
赤茶けた森のようで
雪のかかるそれのようで
腹の中で太陽がまた燃えた



自由詩 クリア組成 Copyright 竜門勇気 2011-10-03 22:44:50
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