わたしはあなたを愛しています
　　日は沈み夜が街をつつみます
　　空を飛んでいた鳥たちは
　　どこへ消えていったのでしょうか
　　わたしはあなたを愛しています
　　なぜならあなたはわたしではないから
　　なぜならあなたの髪が長くて美しいから
　　毛皮のようなやさしさのなかに
　　きびしさの刃をかくしているから
　　わたしはあなたを愛しています
　　なぜなら風が吹いているから
　　なぜなら赤が青に変わったから
　　子どもたちが笑いながら駆けてゆくから
　　一度として、この気持ちを
　　わたしは疑ったことがありません
　　信じたこともありません
　　わたしは勉強ができないけれど
　　わたしは体も強くはないし
　　お酒もそんなに呑めないけれど
　　わたしはあなたを愛しています
　　火事が起きても
　　海と川が荒れ狂っても
　　地震がすべてを壊しても
　　お金がなくても
　　わたしはあなたを愛しています
　　なぜなら太陽がまぶしかったから
　　なぜなら我輩は猫だから
　　なぜなら年若く、心に傷を負いやすいから
　　わたしはあなたを愛しています
　　やがて夜の街にぽつぽつと雨が降り
　　あなたのことを考えるためだけの
　　とくべつな時間を用意してくれるから
　　涙が頬をつたうから
　　明るい笑みが灯るから
　　幸福は、この上ない不幸で
　　不幸もまた、この上ない幸福だから
　　春、
　　夏、
　　秋、
　　冬、
　　四季はめぐり続けるから
　　この夜が終わっても
　　この歌が終わることは
　　絶対にないから