小指が痛むと薬指が痛む様に
私も痛む
私達は深い深いところで
多分つながっているのだろう
あなたの傷と私の痛みは無関係で
あなたのその傷はあなたの過失
私の指からは血など流れていない

血は大切な
とても大切なもので
気軽に流すものではなく
流れるものでもない
流してしまったら
流れてしまったら
たちまちあらゆる感情を飲み込んで
辺りは真っ赤な戦場
止めようのないマグマの流れの様に・・・
そして
時がたてば冷たく固まる
薬指の痛みなど通じないくらいに

私の痛みは？
私の痛みは始末が悪い
傷口もなく
一滴の血も流れていないだけに
不合理な立場を占める
ただ痛みだけが一人歩きをして
ああだこうだと騒ぎ続ける
そのうちに態度を変えて
ふんぞり返って説教始める
偉そうな顔をして
悪とは、良心とは、などと
分別臭い事を言う
私は呆れ返って鼻であしらう
自分の血を流した痛みなら
頭をたれて素直になりもするが
元をただせば他人事
トバッチリにも等しいこの痛みは
あなたのでもなく私のでもなく

私達の古い傷は
触れ合うとカチンと音をたてるだけで
さし当たって痛む事はない
人の心の奥底を流れるマグマの様に
感情の基幹につながってしまった