火星の風
佐藤伊織

ロケットが突き刺さったあの丘は
今日も明日も照らされたまま
火星人の去った夜に
一人泣いているモニタの少女
差し伸べられた手は
もう何万年も前のこと
そんな時からディスプレイで一人
ロケットが突き刺さったあの丘は
今日も明日も風もなく

生きているものはなにもなく
死んでいるものもなにもなく
ただディスプレイに映るあの娘だけが
そうして泣いておりました



自由詩 火星の風 Copyright 佐藤伊織 2011-10-02 04:33:54
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