あるひ、あるとき
たもつ



縄跳びの途中で
砂を買いに行った母が
未明、父の心の中で
発見された



ベッドを買うのに
十円足りない
だから今夜も
寝られない



夏なのに
シチューの話をすると
蟻が集まってくる



洗濯物と同じ色の
キャンディをつくる
他のものと
間違えないように



バナナの隣に
小さな家を建てた
数年後
バナナは腐っていた



ラジオをつける
ニュースの音が聞こえる
そのままにして
家を出る
今頃は天気予報だろう



スイカに名前をつける
名前を呼ぶ
返事はない
石に話しかけている気がしてくる



突然の電話に
三百六十度
声が裏返る
とても苦しいのに
相手は気づいてくれない



道路が大きくカーブしている
建物の窓から
人が外を見ている
その先にも
道路が続いているかのように



太陽を追いかけて
少年が走る
汗と
終わることのない
一日中の真昼



自由詩 あるひ、あるとき Copyright たもつ 2011-10-01 17:26:25
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