嵐の夜を真似て交わる
橘あまね

海になる体へ雷の槍をふらせる
うねる波の頭の
ひとつひとつへと
国産みの神を模倣して
空になる体は
すみやかに 確固とした
愛の執行を撃ちつける

脊髄どうしがリンクして
ナルシスを交換するとき
この体を作り上げてきた
痛みと喜びの
総量を注ぐ
産まれてからの呼吸の数
拍動の数
歩みの数

とめどない奔流を吸いこむとき
歌に似て細く高く響く音
火花がすべての色を経て
やがて混沌へと飽和するころ
届く頂点に生まれた原石を
力の限り握りしめたい

古の神々の営みを
正しくなぞりあげて
空になる体と海になる体は
最果てまでを照らす
気高い星をつくる


自由詩 嵐の夜を真似て交わる Copyright 橘あまね 2011-10-01 11:23:30
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