蟄告
アラガイs


暗い部屋のすきまからこちらをみつめるもの
姿を変えた長い手足には大きな瞳が隠れて
混乱の意味を投げかける
魑魅魍魎と世界が炎に焼きつくされるとき
沸騰した逆流する赤い海の底
無意識に呼び止めた脳膜からの飛沫
みえない重力に阻まれてわたしは自縛する
ひとり溶けだした岩の上で立ちつくす

あなたにはわかるだろう
苦悩に歪む非対称なカード
這いつくばる虫たちは緊張に尖り
冥界の使徒は警笛を発し続ける
「内臓は弛緩してはいないか」
予言された紐のように
夜の帳を知らしめる
たとえ悶々とした朝焼けの、秘めた枝に首を吊るすことはない
その吐き出されたどす黒い糸を、そのすべてを意のままに操るもののように

あなたにはわかるだろう
虫たちの射精
飛び交う粒子の叫び
露骨にとびだした線毛の針金
世界の終わりを告げる螺線はみえない傷跡の微膜
予感と便乗された
息つける一日を 。








自由詩 蟄告 Copyright アラガイs 2011-09-30 06:18:33
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