やさしい爪
甲斐マイク
きみはもう
灰色で、
さわれば冷たかった
キャンドルを
ふきけそうとするたびに
きのうの感触がのこるなら
もうそれより先にあるもの
そのすべての秘密を知るのは、せつない
いとしいひとよ また会おう
ある日 どこかで また会おう
文字のない字幕のように
言葉のないトオキイのように
きょうはもう、きのうではないのに
謎めいた形而上絵画に
きみを埋めるには
どの色も、足りない
自由詩
やさしい爪
Copyright
甲斐マイク
2011-09-22 16:22:08