秋水
霜天
出て行くのです
朝早くの電車に乗って
霧の中のレールに乗せて
席は自由で
同じくらい不自由で
透明な朝に気付いてしまうと
そればかりを求めてしまう
ススキの群れる白い世界を
滑り込むように通り過ぎて
澄み切った空は、淋しさ
終点までの距離を数える窓では
鉄塔が独りぼっち
薄れる霧の向こうで
動き出す暮らし、の
足音のひとつ、ひとつ
手を広げた範囲の
輪郭に気付いてしまえば
通り過ぎていくことと
ほんの一瞬の人達の
横顔を
澄み切った青の淋しさと
眺めてしまう
ただ、そればかりを
自由詩
秋水
Copyright
霜天
2004-11-20 02:38:26