命の距離
三之森寛容

今日
万の人が
死にました


今日
千の人が
死にました


今日
百の人が
死にました


今日
十の人が
死にました


今日
人が
死にました


ほらそこに
悲しみがあります


でもここに
悲しみはありません


それでもどこかで
誰かが悲しみます


小さな小さな
悩みを
他人が笑う様に


ここに
悲しみはありません



頬から零れ落ちた

ダイヤの輝き

一つ一つが繋がれ

不の二重螺旋を描き

何者も断ち切れず

諸手を挙げ

美しさをも感じ

演者となり

観客となる



そこの
悲しみはいつか消え


ここには
悲しみがありません


いつかここにも
悲しみが来て


やがては消えていく


だから
生きられる
だから
悲しみはかなしい


自由詩 命の距離 Copyright 三之森寛容 2011-09-13 09:54:02
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