アオスジアゲハへの手紙
たちばなまこと


自転車で
スローダウンして
見上げた初秋の青空に
アオスジアゲハ
自然にまかせて舞おうとする
あなたのようだと思う

今朝気がついた秋は
褐色の落ち葉
乾いて道端に身を寄せ合って
人々は長袖の腕をまくり
やがて袖はおろされて
深い色が似合うようになる

蝶も夜は眠るのかしら
片手に調べものをしたまま
眠る宵が増え
友だちが
情報過多ね、と告げてくれる

枯れた喉に蜜を送る
母親に
考えてから口にしなさい、と
言われたことを思い出す
私の唇は寡黙
私の筆は饒舌
生まれ持った素材にとって
全ての循環がやさしくありますように
アオスジアゲハのような
あなたへ贈る
手紙





自由詩 アオスジアゲハへの手紙 Copyright たちばなまこと 2011-09-07 16:49:14
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