ドロップとマッコリ
AB(なかほど)


いくつかのよりどころが
いつのまに
消えたり増えたりしている

かけがえのない場所だって
もっともらしい理由をつけて
帰りたくない日がある

ラビのパンの話を覚えている
僕の気持のポケットにも
ときどきにぎっているものがある
それが十円玉のときもあった


小さな
いくつもの
たわいのない
もの
でいいはずなのに
とてもとても
大きく
強いものを
よりどころにする
それが消えたときに
また
こんにちは
って小さなものたちがほほ笑んでくれれば
いいのだけど


君の言葉が
間違っていたわけじゃない
それは確かだよ
ただ
僕の気持とは違うんだよ
あの君の言葉で
多くのひとたちが笑えるようになったんだよ
でも
僕はそうではなかったんだよ
だから決して 
君が間違っていたとは思わない
君や多くのひとに伝えられずに失敗ばかりしてるのは
僕のほうだ


九月三日、夕暮れ、食卓、ドロップの缶


もう何もいえなくても
つぶやくぐらいは
いい よ ね

空と胸から聞こえた




ドロップとマッコリ



自由詩 ドロップとマッコリ Copyright AB(なかほど) 2011-09-06 12:17:56
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