薔薇のうみ
洞野いちる

赤の鎖が 手足に食い込んでゆく
薔薇のうみのなか
催淫はもう身体を支配している

胸の上にのしかかってくる重圧感
息を吸い込めば 香る 甘美
薔薇の棘の痕 舐めるざらついた舌
拒否したい なのに 躯は縋り求める

崩れゆく理性 残る野獣の本能
解かれるように 全てが曝け出されてゆく
薔薇の華が揺れる
香り 誘う
身体中を刺す赤い棘の痛み
甘すぎて くるしい

嗚呼 わたしは もう
赤の呪縛から 逃げられない


自由詩 薔薇のうみ Copyright 洞野いちる 2011-08-29 21:41:42
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