去年の夏日
吉岡ペペロ

去年の夏ちょうど今ごろ彼女の部屋を掃除した

会社まで彼女を送りそれからひとり散歩した

彼女のわだちを探してた

道すがら夕食はこのスペイン料理店にしようと決めた

喫茶店で読書しドラッグストアが開店するまで待った

数種類の強力洗剤とゴシゴシするやつを買って彼女の部屋に戻った

まず捨てても構わなそうなゴミをまとめることから始めた

まだこんな時間か

時間がゆっくりと進んでいる

普段ならもうお昼まえの感覚だ

じぶんに主婦向きの手際よさがあることを発見する

お風呂場の換気扇、窓と網戸、溜まった食器洗いが難敵だった

換気扇からは髪の毛に黒い埃のかたまりがたくさん落ちてきた

網戸をしているときはじぶんが落ちそうになった

食器洗いはスペースが狭くて腰がだんだん痺れてきたから二回に分けた

ただ彼女が喜んで驚き顔でほめてくれることだけを的にして

タバコを吸うのも汗を拭くのも息をするのも忘れてからだを動かした









自由詩 去年の夏日 Copyright 吉岡ペペロ 2011-08-20 19:14:45
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