リアリティを追って
シホ.N


僕には何かが見えている
例えば
ときどき視界の隅を横ぎる
小動物の残像
虫たちの群がり
風の色
人々の悪意

悪魔の顔だ妖精の舞いだ
僕には聞こえるのだ
内なる声の
閉じこめられた混乱

僕のまわりに空気はない
ただ暗闇であり
宇宙のように
僕は体をあずけた

人の影も声もなく
漠々たる真空
遠い彼方で揺れている光
追いかけるたび遠ざかる
あれが
僕から逃げてしまった
リアリティというやつ



自由詩 リアリティを追って Copyright シホ.N 2011-08-19 23:09:32
notebook Home 戻る