線路の向こう
ビルの谷間の三角地
そういう辿り着けない場所に
オレンジ色のコスモスが
揺れている

ささやかな風景は
しかし、すぐに電車の音に
塗りつぶされてしまう
それでも
元気ですか、と問われれば
元気だよ、と答える
しかたがないだろう

浅い、海を見あげる
焦点は合わせない
いのりのかたちだけは
自由だと思う
　

―――　キミヨ、アイスルヒトヲ、マモリタマエ

ガラス貼りのビルの底
遠い幻のようなリフレイン
何ども挫けそうになる
けれども
けれども