致死量の幸福
はるな


庭は
しめっている

しずかに
でも
着実に

窓際には
枯れた花が
咲いている

わたしは
濡れた戸を背に
立っている

あなたが
部屋のなかにいるのがみえる
湿度も
温度も
色もにおいも
調えられた部屋にいるのが
みえる

庭はしめっている
空はたかく
草はやわらかい
鋼鉄を背に
水中を感じている

日差しのふる午後

夥しい誘惑が
足元を這い上がる

世界は
扉のむこうにある



自由詩 致死量の幸福 Copyright はるな 2011-08-05 15:18:49
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